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化粧品・コスメECの市場規模とEC化率

国内の化粧品の市場規模

化粧品市場に関する調査を実施(2021年) - 株式会社矢野経済研究所

参考:化粧品市場に関する調査を実施(2021年) – 株式会社矢野経済研究所

矢野経済研究所による化粧品市場の調査データによると、2020年における国内の市場規模は前年度比84.4%の2兆2,350億円であったことがわかりました。2019年と比較して約15%減少している理由に、コロナ禍の外出自粛により国内需要が落ちた点が挙げられます。また、インバウンドが消失したことも市場に大きな打撃を与えました。今後、インバウンド需要が復活し、また外出する機会が増えれば、化粧品需要も回復すると予測されます。

なお、化粧品市場のカテゴリー別構成比と市場規模は、次の通りです。

カテゴリー 市場規模/構成比
スキンケア市場 1兆700億円/47.9%
メイクアップ市場 3,990億円/17.9%
ヘアケア市場 4,350億円/19.5%
男性用化粧品市場 1,210億円/5.4%
フレグランス市場 260億円/1.2%

化粧品ECの市場規模・EC化率

電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました - 経済産業省

参考:電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました – 経済産業省

次に、経済産業省の市場調査を見てみると、2020年の化粧品ECの市場規模は7,787億円であることがわかりました。EC化率は6.72%で、生活家電(37.45%)や書籍(24.77%)など他の分類と比較して低めだと言えるでしょう。

化粧品産業ビジョン - 化粧品産業ビジョン検討会

参考:化粧品産業ビジョン – 化粧品産業ビジョン検討会

化粧品産業の主要チャネル別の販売実績では、ECの属するチャネルである「公式通信販売」は、2010年の7位から、2019年には4位へと上昇しており、「訪問販売」や「量販店」などの他のチャネルが縮小する一方で堅調に推移しています。コロナ禍で新規にECビジネスに参入する事業者が増えていることや、課題を解決する施策やテクノロジーも導入されつつあることから、EC化率の向上が期待できます。
今後は、「実際に見ながら買いたい」「美容部員に接客してもらいたい」と考える消費者に訴求することで、市場ニーズを獲得していくことが重要です。店頭で購入するような体験ができるUXを備えた、化粧品ECサイトを構築していくことが成功のチャンスを広げるのではないでしょうか。

化粧品のEC化率はなぜ低い?その理由と課題

理由①:「自分に合う」ことを重視して、実店舗で購入する消費者が多い

東京女性のホンネ調査「コスメのオンライン購入について」オズモール会員20~49歳の働く女性にアンケート - スターツ出版株式会社

参考:東京女性のホンネ調査「コスメのオンライン購入について」オズモール会員20~49歳の働く女性にアンケート – スターツ出版株式会社

20〜49歳の働く女性1,356人に調査したスターツ出版株式会社のデータ(2020年)によると、過去1年間のコスメ購入で、「実店舗での購入の方がインターネットでの購入よりも多い」と答えた「実店舗派」が56.0%と半数以上におよび、「インターネットの方が多い」と答えた「ネット購入派」は29.8%でした。「実店舗」で購入した理由は、「コスメの実物を見たい」「相談したい」というものだったのに対して、「インターネット」で購入した理由は「クーポンなどの割引が使える」「店舗に行く必要がなくて楽」「リピート商品はオンラインで」というものでした。
このように、現在はインターネットと実店舗で、購入する商品の選び方が異なることがわかります。化粧品EC業界のこれからの課題は、いかに「自分に合う」ことを求める層の需要を「実店舗派」から取り込んでいくかだと言えるでしょう。

理由②:化粧品の購入トラブルが多かった

国民生活センターに2020年度に寄せられた商品別の購入トラブルの相談件数を見ると、健康食品やデジタルコンテンツなどに続いて、化粧品は第4位の約36,000件となりました。特に、「お試しのつもりでオンライン購入したところ、知らない間に定期購入になっていた」という相談が多く寄せられていました。
​​こうした定期購入トラブルを是正するため、2022年6月1日に改正された「特定商取引法(消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律)」によって、ECサイトの最終確認画面に詳細な注文内容を表示する義務が追加され、消費者を誤認させるような表現が禁止されることになりました。これまで多かった化粧品ECの購入トラブルも是正され、EC化率も向上することが期待されています。

理由③:化粧品業界の競争が激しい

化粧品EC業界の特徴として、資本力のある大手企業上位5社が市場の4割のシェアを獲得しており、中小企業による事業参入が苛烈化しているという点が挙げられます。

化粧品産業ビジョン - 化粧品産業ビジョン検討会

参考:化粧品産業ビジョン – 化粧品産業ビジョン検討会

そんな状況の中で、躍進している新規参入事業者の特徴として、デジタル技術を駆使した販売戦略への見直しを行っているという共通点が挙げられます。ライブ配信でモノ・コトを売る=「ライブコマース」を活用したり、様々な販売経路を統合し、「オンライン」と「オフライン」の強みを融合させる「オムニチャネル」化を進めるなど、コロナ禍の状況に適応し、従来のモデルにとらわれない戦略の導入が、新たな販路開拓の突破口として成功のチャンスを産み出しているといえるでしょう。